今年の確定申告もそろそろ申告期限です。

フリーランスやスモールビジネスを営んでいる人の中には「税理士と顧問契約していない」「年1で決算申告をお願いしている」人も多いことでしょう。コストがかかるというのが理由のひとつのようです。敷居が高いという人もいます。

税理士に年1で依頼することで何か問題は生じるのでしょうか?
本コラムでは,インボイス制度開始後だからこそ考えてみたい,年1決算のデメリットについて解説します。

デメリット①:納税額のストレス

税理士に年1で決算申告を依頼するデメリットはなんでしょうか?

第1のデメリットは,納税額が事前にわからないことです。自分で確定申告をしていたり,税理士に年1で決算申告を依頼している場合には,「申告する直前に」納める税金の金額がわかることになります。

税金などの負担は,全体としてみるとかなり大きな金額です。
所得税だけならいざ知らず,住民税,事業税,さらには国民健康保険料などの金額も合わせるとかなりの金額になることが多いのです。

令和6年度の国民負担率。税金等の負担はどのくらい?

特に,消費税の納税額に驚く人が多く見受けられます。
なかには納税するためのお金を確保しておらず「こんなに払えない!」という方も。

インボイス制度開始後は,消費税の納税額に「痛税感」を感じるケースが多くなるのではないでしょうか。それまでは消費税が免税だった比較的小規模なビジネスを営んでいる人にも,消費税の申告と納税の義務が生じる可能性があるためです。

税理士と顧問契約していると,事前に納税額を試算したり,売上高から納税額を予測してくれます。

小規模なビジネスは資金的に余裕がないことが多いため,納税で多額の現金預金が出ていってしまうのはかなりのストレスです。税理士に依頼する際に,年1決算申告ではなく納税予測をしてくれるプランを選べば,このような「痛税感」を緩和することができるのではないでしょうか。あらかじめ納税資金を確保しておくこともできるため,資金繰りも安心です。

デメリット②:節税しづらい

第2のデメリットは,節税がしづらいことです。言い換えれば「打つべき手を事前にうてない」ため,結果的に節税につながりにくいのです。

節税策の多くは「事前の仕込み」が重要です。事前の届出が必要だったり,会計データを事前に整理しておいたり,設備投資などの将来を見越して検討しておく必要があるのです。

申告直前に「魔法のように税金を減らせる」,そんな方法はほとんどありません。
また,節税のために無理にお金を使おうとすると,かえって資金繰りを悪化させてしまうことになりかねません。

税理士に年1で決算申告を依頼している場合には,申告時点でしか対応することができないため「打てる手がない」(手遅れになっている)ことが多いのです。

消費税の場合も同様で,消費税の翌年以降の計算方法の選択などは,年1決算では対応が困難です。インボイス制度開始後は,消費税の課税事業者になる人が増えるため,「もっと早く手を打っておけばよかった」という人も増えるのではないでしょうか。

節税は,将来を見据えて,定期的に経営数値などと相談しながら行っていくことが重要です。

デメリット③:経営に強くなれない

第3のデメリットは,会計データの精度が低くなり,経営面が弱くなる可能性があることです。

営業や創作など毎日の仕事に追われていると,どうしても経理は後回しになりがちです。
そうなると,年末(期末)にまとめて数字を把握することになり,会計データの精度も低くなります。
特に,消費税の場合は,会計データの精度が低くなると税額に影響してくることがあります。

税理士と顧問契約をして定期的に面談を行う場合には,専門家が会計データをチェックしてわかりやすく説明してくれます。税理士が得意な業種があればなおさらです。その業種ごとの経営情報のデータやビジネス慣習などのノウハウを持っているため,より具体的なアドバイスが期待できます。

また,同じ業種であっても,やはり事業主それぞれの「クセ」というものが会計データに現れてきます。
この月に売上が大きい,いつもと比較してこの経費が大きい,今年はこれくらいの売上で着地しそうなど,会計データから読み解くことのできる事業の「クセ」に基づいて,ひとりひとりに適したアドバイスをしてくれることでしょう。

事業を長く続けていくためには,やはり経営の理解者は必要です。

かかりつけ医としての税理士

税理士の定期的な面談は「定期的な健康診断のようなもの」と説明することが多いです。

定期的な面談では,健康診断を行うように,みなさんのお仕事の状況を丁寧に把握することを通じて,事前に手を打つことができます。問題がありそうなら注意喚起をし,節税策など,みなさんひとりひとりに合わせたアドバイスをしてきます。また,あらかじめ納税額を予測することで,必ず訪れる納税の不安を軽減することもできます。

なによりも,困ったら自分の状況を一番理解している専門家にすぐに相談できるという安心感があります。
みなさんのお仕事をより長く続けていくために,税理士を活用してみてはいかがですか?

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