事務所によってサービスや料金に違いがあるのは、事務所が「重視しているもの・大切にしているもの」が違うから

税理士に相談したいと思って調べてみても,会計事務所により料金やサービスが異なっていて,何を基準に選んだら良いのかわからないという声を耳にすることがあります。
以下では,税理士を選ぶ際の4つのポイントについて,私見を交えながら解説します。

なぜ税理士に依頼するのか?

税理士は,税理士法という法律に定められた税のスペシャリストです。
日本では,原則として,自分の税金は自分で計算し,自分で税務署へ申告し納税します。このことを「申告納税制度」といいます(注1)。所得税や法人税,消費税など,日本では多くの税金について,この方法が採用されています。

税金は,税制とその根拠法律に従って計算します。

しかし,この法律は難しく,頻繁に改正されます。そのため,税に関する専門家である税理士が企業や個人経営者の依頼を受け,所得税や法人税等の税務申告を代理したり,税務相談に応じたりします。これは税理士の独占業務で,税理士以外の人がやってはいけません。

税のしくみではたくさんの手続きが必要です。どのような手続きが必要かなどを調べるのは大変です。税理士は独占業務として,このような税務手続書類の作成も依頼を受けて行います。

また,税金の計算の基礎となる会計帳簿の記帳を代行したり,経営やお金の相談役としての役割も担うこともあります。

さらに,税務調査が入って,申告した時の実態が確認される場合もあります。税務署の調査担当者が人間である以上,納税者と見解の相違が生まれる可能性があります。その時に頼りになるのが税理士です。

このように,税理士は税の専門家であり,独立した公正な立場として日々納税者に接しています。税理士は,お金と税金の用心棒だけでなく,経営者の良き相談役としての役割も担っているのです。

以下では,税理士を選ぶ際の4つのポイントについて,私見を交えて解説します。

(注1)日本国憲法は第30条で「納税の義務」を,第84条で「租税法律主義」を定めています。「申告納税制度(方式)」については,国税通則法第16条第1項第1号に定められています。この方法では,納税者の一人一人が,自ら税務署へ所得等の申告を行うことにより税額が確定し,この確定した税額を自ら納付します。他方,①申告がない場合,②申告に係る税額の計算が税に関する法律の規定に従っていない場合,③申告内容が税務調査で明らかになった実態と乖離しているなどの場合には,税務署長の処分により納付する税額が確定すると同法で定められています。これに対して,行政機関の処分により税額を確定する方法を「賦課課税制度(方式)」といい,地方税ではこの方法が一般的です(国税通則法第16条第1項第2号)。

POINT①:担当者を確認しよう

担当者のパターンは主に2つ

会計事務所に依頼した際につく担当者については,主に2つのパターンがあります。

1つ目は税理士が直接担当するパターン,2つ目は資格のないスタッフが担当するパターンです。後者の場合,普段は資格のないスタッフが対応し,決算申告に大きく関わるものや税務リスクの高い相談については,税理士が対応するケースもあります。

資格のないスタッフが担当するパターン

まず,資格のないスタッフが担当するパターンです。

たくさんのスタッフを抱えている会計事務所にお願いする場合,どのような人が担当者になるかあらかじめ確認した方が良いでしょう。スタッフの役職や経験年数により料金設定が異なる会計事務所もあるほど,経験の浅い新人スタッフと経験豊富なベテランスタッフではサービスの質に大きな差が生じる可能性があるためです。

ある程度割り切って料金をベースに選びたい場合にはメリットがあるかもしれませんが,一方で,担当者が退職してしまったり,事務所内の業務分掌変更で担当者が代わったりするデメリットもあります。

税理士が直接担当するパターン

他方,税理士が直接担当する場合,安定した質の高いサービスを受けることができます。担当者が退職したり変更される心配もありませんね。

その反面,資格のないスタッフが対応する事務所と比較して,料金は高くなる傾向があります。

また,家族やプライベートの時間も大切にされている税理士も多く,「ご新規はお断り」と関与できる数に制限を設けている方もいらっしゃいます。タイミングが悪ければ,関与をお断りされてしまう可能性もあるでしょう。

このように,担当者はどんな人を予定しているのか,可能であればあらかじめ確認しておくのが良いでしょう。

POINT②:得意分野を確認しよう

会計事務所の得意分野

会計事務所によって得意分野はさまざまです。

例えば,飲食業に特化した事務所,法人の創業支援が得意な事務所,個人事業主の確定申告をメインに受ける事務所,相続・事業承継専門の事務所、クラウド会計を活用している事務所、記帳代行と税務申告だけを行う事務所などです。オールラウンダー型の事務所もあります。

事務所の特徴や執筆実績をチェック

Webサイトなどに「事務所の特徴」として得意分野の記載があれば,税理士やスタッフがいままで経験してきたノウハウがその事務所に蓄積されていると考えられます。

また,税理士やスタッフがその業種などについて詳しければ,ビジネス(本業)の相談や設備投資や経費などの相談をする際に業界用語が出てきても、スムーズなコミュニケーションが図れ,メリットが大きいといえます。ちょっとした雑談も弾みますね。

会計事務所のWebサイトや執筆実績などを確認して,自分の悩み・業種・業態・職種とマッチするならば,会計事務所を選ぶうえで押さえておきたいポイントのひとつになるでしょう。

POINT③:サービス内容・対応地域を確認しよう

自分の悩みや要望をもう一度確認しよう

サービス内容も会計事務所によってさまざまです。

他方,税理士に相談するお客様のニーズもさまざまでしょう。例えば,以下のような要望を挙げることができます。

  • 年に1度,決算と申告だけをしてもらいたい
  • 本業に集中したいから記帳から決算申告まですべてお願いしたい
  • お金や税金のことで困ったことがあったら,いつでも相談できる相手が欲しい
  • 法人化を予定しているので相談に乗って欲しい
  • 定期的に経営の数字を一緒に分析したり,節税や資金繰りのサポートを受けたい
  • クラウド会計を活用して経理業務フローを改善したい

自分の悩みや要望を税理士に伝えよう

確かに料金も選択肢のひとつですが,お互いにミスマッチが生じないように,自分の悩みや要望を税理士にしっかり伝えることが大切です。

ヒアリングを通じて,現状の確認と課題の整理を一緒に行ってくれるのではないでしょうか。

なお,将来を見据えたアドバイスや質の高いサービスを受けるためには,会計事務所サイドでもお客様の状況をしっかり把握できることが重要です。

定期的なコミュニケーションが確保できるプランの選択や証憑書類などの提出を早めに行うなど,お客様からの歩み寄りも大切であることを付言しておきたいと思います。

対応地域のほか,クラウド会計ソフトに対応可能かもポイントに

また,サービスの対応地域もポイントです。

クラウド会計ソフトなどの活用により、コミュニケーションや決算申告がWebだけで完結することも可能になりました。

前述したように,自分にマッチする得意分野をもつ会計事務所があるけど,関与をお願いするには場所が離れている。そのハードルが一気に下がりました。

その場合,会計事務所がクラウド会計ソフトなどに対応しているかも,会計事務所を選ぶうえでポイントのひとつになるでしょう。

POINT④:自分との相性を確認しよう

自分の性格と業種にあった税理士を探そう

税理士とは長く深い付き合いになることが多いため,相性が最も重要なポイントです。

まず,Webサイトなどから人柄を感じとり,メールから受ける印象も参考に,実際にzoomなどの対面で話してみて相性を確認するのがよいでしょう。

税法と会計という難しい論点を扱う税理士もひとりの人間です。

真面目で職人堅気な人,愛嬌があって話上手な人,必要なこと以外は言わないクールな人,いろいろと気にかけて世話を焼いてくれる人など税理士の性格もさまざまです。

特に,税理士に資金繰りや事業計画などの事業のことだけでなく,従業員や家族のことについても相談する人が多いため,自分の性格と業種等に合致したタイプの税理士がみつかれば,ベストな選択になると考えられます。

弊所は「世話焼きタイプ」です

余談ですが,弊所税理士は,少し世話焼きタイプかもしれません。

というのも,クリエイティブ領域の人は,目の前の作品を創ることに集中しており,お金の損得や税金の手続きのことは二の次である場合が多いためです。

しかし,フリーランス・クリエイターだったら毎年3月の確定申告,法人を運営している人だったら事業年度末の決算申告というビックイベントが控えています。毎月の経理事務負担だってばかになりません。

そのため,弊所では,経理や税務の手続きや税金の支払予定を,できる限り「早めに・こまめに・丁寧に」行っています(繊細・緻密・親切・丁寧という仕事のしかたを師から教わりました)。ちょっと世話焼きなお母さんのような税理士ですが,ありがたいことに,弊所のお客様からは感謝していただけているようです。

なお,弊所ではご依頼に関する初回面談を無料で承っております。お気軽にお問い合わせください。

弊所のポジション

本コラムでは,税理士を選ぶうえでの4つのポイントについて,私見も交えて解説しました。

以上のポイントを踏まえると,例えば弊所は以下のようなポジションになりますね。

  • 税理士が直接担当
  • 中小企業・個人事業主などのスモールビジネスを対象
  • 特にクリエイティブ業に強い
  • 創業支援や相続・事業承継に対応
  • NPO法人などの非営利組織に対応
  • クラウド会計ソフトなどを活用して全国対応

料金面は「格安ではないけれど,利用しやすい料金」を心がけています。

弊所では,税理士がすべて対応し,LINEやチャットでいつでも気軽に相談できる安心な環境を提供することを大切にしています。特に,スモールビジネスの経営者やクリエイターが本業・創作活動に専念できる環境づくりをお客様と一緒に考えながら作っていきたいと思っています。

そのため「格安料金」にすることはできません。

しかし,お客様のお悩みやご要望を税理士が直接ヒアリングし,お客様の状況・業種・職種・業態・ニーズに合わせてオーダーメイドでサービスを組み立てることによって,過剰なサービスと料金にならないように配慮しています。

弊所の特徴」もご覧のうえ,「お金と税金の用心棒探し」「相談役・事業のパートナー探し」のご参考にしていただければ幸いです。

税務・会計・経営のことなら、たけだ税理士事務所にご相談ください。

たけだ税理士事務所は、クリエイティブに関わる多様な事業形態に対応し、「5つの支援」を主軸とした、税務・会計・経営の総合アドバイザリーサービスを行っています。