京都府京都市が新設する法定外普通税「非居住住宅利活用促進税」。これにより,空き家や別荘,セカンドハウスなどの居住者のない住宅(非居住住宅)の所有者に対して課税が行われます。
京都市が「空き家新税」導入
総務省は令和5年3月24日,京都府京都市から協議のあった法定外普通税「非居住住宅利活用促進税」の新設について同意しました。これにより,空き家や別荘,セカンドハウスなどの居住者のない住宅(非居住住宅)の所有者に対して課税が行われます。
(参照)総務省「京都府京都市『非居住住宅利活用促進税』の新設」
今回の京都市のように,地方税では自治体独自の新税がつくられることがあります。これを「法定外税」といいます。法定外税とは,地方団体が地方税法に定める税目(法定税)以外に条例により新設する税目です。例えば,東京都・金沢市などが導入している「宿泊税」,熱海市が導入している「別荘等所有税」などがあります。
(参照)総務省「法定外税」
「空き家新税」の目的は?
この空き家新税の目的は,社会的な問題となっている空き家問題への対策です。誰も住んでいない建物やその敷地に,固定資産税とは別の税金を課すことで,空き家の発生を抑制しようとするものです。
「非居住住宅利活用促進税」の目的
「空き家や別荘、セカンドハウスなどの居住者のない住宅(非居住住宅)の存在は、京都市に居住を希望する方への住宅の供給を妨げるとともに、防災上、防犯上又は生活環境上多くの問題を生じさせ、地域コミュニティの活力を低下させる原因の一つになっています。このことに鑑み、非居住住宅の所有者に対し非居住住宅利活用促進税を課することで、非居住住宅の有効活用を促すとともに、その税収入をもって空き家の活用を支援する施策を講じることで、住宅の供給の促進、安心かつ安全な生活環境の確保、地域コミュニティの活性化及びこれらの施策に係る将来的な費用の低減を図り、もって持続可能なまちづくりに資することを目的としています。」
「空き家新税」の内容は?
納税義務者
納税義務者となるのは,市街化区域内に所在する非居住住宅(住宅のうち,その所在地に住所を有する者がないもの)の所有者。住民票の有無にかかわらず,調査票の送付,現地確認などによる居住実態の有無により個別に判断します。
税率
- 家屋(家屋価値割):固定資産税評価額 × 0.7%
- 土地(立地床面積割):1㎡あたり固定資産税評価額 × 住宅の延べ床面積 × 0.15~0.6%
対象となる物件は約15,000件で,税収は約9.5億円を見込んでいるようです。
免除・減免
なお,家屋の固定資産税評価額が20万円(条例施行後5年間は100万円)未満の場合は免税とされるほか,以下のような非居住住宅に対しては,課税免除となります。
- 事業用のもの・1年以内に事業用にする予定のもの
- 賃貸・売却を予定しているもの
- 固定資産税において非課税又は課税免除とされているもの
- 景観重要建造物などの歴史的な価値がある建物
また,以下のような非居住住宅は減免措置が設けられています。
- 転勤中,海外赴任中のため,居住していないもの(ただし5年間のみ)
- 入院,施設(介護施設・障害者施設)入所中のため,居住していないもの
- DV被害等による避難
令和8年からスタート予定
空き家対策が全国的に大きな社会問題となる中,別荘だけでなく空き家も含めた非居住住宅所有者への課税は全国初。空き家などの利活用を促す新税は,全国のモデルケースとなりそうです。京都市は令和8年以降に課税を開始する予定です。
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